レポートの中の計算結果、何桁まで書いている?
データをまとめてもらって提出してもらったレポートのなかの「平均すると〇〇」「合計すると○○」というところの数値の桁数にフォーカスしたいと思います。
レポートでなくても口頭報告でも良いのですが、〇〇のところの小数点以下を省いて報告してくるケースは少なくありません。
「結果だけ知りたいから端折って報告して欲しい」と言ったとしても、この○○が10と書いてある場合と10.0と書いてある場合では、これでOKとするのかNGとするのか、また、その後どう展開させていくかの判断が違ってくる。途中までGood!!な報告でも、最後の数値が端折られてると、、、最後の数値まで正確に報告してほしかったぁ。なんてケースのことです。
「ここの数値は10で良いの?10.0とも言える?」なんて再確認を取ることもありますが、報告者本人はこの違いをちゃんとわかっているのでしょうか。
エクセルなどのスプレッドシートソフトでは、書式設定をちゃんとしていない限り、10.0と入力しても10と表示される。
それを書式変更して10.0と表記させているのか、まぁどっちでもいいやとと思ったのかは、重要なポイントです。
10と10.0の何が違うの?
10と10.0の何が違うの?
それはその示した数値がどれくらいの幅のなかにあるのか?の幅の大きさが違うということです。
10と記した場合、10.00000・・・・000と、とても正確で、ほぼほぼ不変な十のことを指しているのかどうか、ということです。
報告者に「それは10.00000・・・・000とも言えるのか?、それぐらい正確なのか?」と聞けば、いやいやそうではないと答える場合もあるでしょう。
そういう疑問を持たれない様に、桁数で表現することが重要なんです。
有効数字なんてことばがありますが、普段のレポート上で「有効数字は3桁で」みたいな数学の問題みたいなことはしないでしょう。ということは、そうは書かずとも「小数点以下どこまで記載するか」でちゃんと表現することが重要です。
あるいは評価した数の集団がそもそもあいまいな数値の集団であれば、逆に、細かい桁数まで表現しないほうが良い場合もあります。
有効数字の有効とは, 実験で得られた測定数値をほぼ信用できる部分と信用ができない部分とに分けたうえで, ほぼ信用できる部分のみを扱って議論を進めるという約束事を意味している.
有効数字 | 高校物理の備忘録 (physnotes.jp)
数字の丸めのルールは何個かありますが、ここで「小数点どこまでか」が重要としたのは、工程監視した結果を統計的に評価するうえで、百分率で表すことがとても便利かだからです。
なぜ便利なのかは別の記事で説明しますが、そうした場合、上限値が10の3乗と固定です、下限値は、まとめている情報の質から判断して、10のマイナス何乗まで記載すれば、正しい報告になるか?を考えれば良いだけです。
統計的な百分率=相対標準偏差については次の章で説明しますね。
日本薬局方通則では、化学試験の基礎ルールが明記されています。この通則は化学を始めた人は必須のルールになりますが、実験結果の数学的なレポートはこのルールを順守することをお勧めします。
勿論、ここには数字の丸めのルールについても記載がされています。
000788359.pdf (mhlw.go.jp)
一般的には、数字の丸目のルールはJISでもルール化されています。
(JIS Z 8401:1999)
JISZ8401:2019 数値の丸め方 (kikakurui.com)
違いの説明とまとめ
数字の丸めのルールを利用して、10と10.0の違いを説明します。
10と書けば9.5あたりから10.4あたりまでが許容できる結果の幅。
10.0と書けば、9.95あたりから10.04あたりまでが許容できる結果の幅。
ということになります。
レポートに10までしか表記していないひとは、上長に「ここの結果は10でも9.5でもどちらでとらえて貰っても良いです」と自信を持って言える場合はそれで良いと思います。
また、9.95でも体制に影響がないと自信を持って言えるなら10.0と表記すべきです。それでも自信がないのなら10.00と表記すべきかもしれません。
これは誤差をどこまで許容できるか、バラツキをどこまで許容できるかの分析データの検証の技術とも関わってきますが、とりあえず、この章で言いたいことは、品管の作業者なら、ちゃんと10と10.0の違いについて理解して、常日頃からこだわって表記しなければならないというところになります。
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