監査員の心得(初級編)

作業者目線の日誌

私がここで説明できうる監査とは、製品品質に関する監査です。


「常にある一定の品質が維持される工程が形成されていること、その現場で出来上がる成果物(製品や品質、測定値や製造記録など、アウトプットされるすべてのもの)が信頼できうる方法であり結果であること、法令や要求事項を十分に満たしていることなどを、サンプリングで証拠を取り上げ、そのときの状態を客観的に評価すること」

監査の目的だと思っています。
これは、社内的にも行いますし、関係会社に出向いて行うこともあります。
工場での監査は品管・品証の重要な仕事です。ここでは監査のコツについてお話します。

監査員初級者が気にすべき点とは?

監査が初級者のかたは“前準備”が非常に重要になってきます。監査では基本、準備した内容に沿って進めてください。
監査に慣れてくると感覚やセンスで不具合点には“現場で”よく出会えます。そうなると前準備したことと当日現場で見つけちゃったことがごちゃ混ぜになって、無駄にボリュームのある監査になってしまうので、おすすめできません。もちろん、アジェンダ的なもの、どういう日程で監査を進めるのかは相手方と最初に共有するのが基本なので準備する必要がありますが、初級者以外は最初からある一点が弱そうだなと事前に準備して監査に臨むのはどうなのかな。。と個人的には思います(なぜそう思うのかは中級以上の解説で)。
対して、初心者のかたは、狙うところを最初に決め、ひとつの事象からどんどん深掘りするタイプの監査ができるようになってください。
「ひとつの事象」はきっかけに過ぎませんので質問として何個か準備して頂いて構いません。ひとつの質問からどう展開していけるのかを身につけるトレーニングをすることが初級者にとって重要なところです。

また、事前準備としては、質問した際にこう切り返されたらどう答えようか、のいくつものパターンをシミュレーションしておいてください。その自問自答を繰り返してみることが、本番を迎える前に良いトレーニングになります。

たとえばどんな?

ある作業を見ての一言、「〇〇の作業の記録はありますか?」がひとつの事象です。事前に調べて一番気になってたポイントで、例えばこんな簡単な質問から切り出すのです。

「○○の作業の記録はありますか?」

→「この記録のこのサインはどういう意味ですか」

→「この方がサインに至るまでのルールはありますか」

→「サインされた方はどのような教育を受けていますか」

→「教育の頻度はどう決めてますか」

→「その頻度でよいという客観的証拠はありますか」
簡単に言えばこんな感じです。

私の場合、いま、ノンストップでツラツラ書き出しながら、ルールって言葉から、逸脱時の処置→過去の処置の確認→その方法がなぜ適切といえるのか? と進めようとも思いました。

しかしながら、教育って言葉からまず深堀りすることを選択しました。

まとめ


このような、一点から深掘りする形で監査を進めるためには、頭の中では色んな事象が整理されて繋がりがわかっている必要があります。頭の中で相関図が出来上がっていなければなりません。相関図が出来上がっていれば、途中で方向性を変えていくことも容易になります。

ちなみにですが、製造現場でやってるひとつひとつのことは何かと繋がっているはずなのです。もし繋がっていなかったり、他との関係が希少なものがあれば、その作業はなぜやってるの?ってことにもなりかねません。そういう意味でも初心者監査員にはこういう考え方の訓練が必要になります。

のび太

監査によって、繋がりがない作業を見つけられれば見直し・改善のポイントにもなりますね。


また余談ですが、出会ってさほど経たないのに相手の名前を呼ぶのもポイントが高いです。相手が自分より年輩のかたでも、その場の雰囲気作りに乗り出す姿勢を取ることも良い監査への近道になります。

雰囲気作りがなぜ重要か? これは別の章でお話しします。-監査の心得(中級編)へ


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